世の中は複雑になりすぎた。だからシンプルに対応する。

スシローが二日間の店休日を

設けるという新聞記事があった。

特にサービス業や小売業といった

消費者向けの企業は、

他社に負けないために

休業日ゼロや開店時間を延ばす

などで競ってきた。

 

それだけではなく、豊富な品揃え、

欠品のない適正在庫、

買いやすい価格などで

商品、サービスを提供する。

さらには、ポイントサービス、

来店者へのプレゼントなど、

本業以外のサービスも増えた。

 

コンビニを見ても、

多様な商品の品揃え、

店内調理した熱々のお惣菜、

振り込み手続き、

税金の納付、

チケットの発行、

宅配便の受付など、

他にも知られていないサービスが

山のようにある。

 

しかし、これは客として

見えている世界だけの話だ。

 

見えないところでは、

商品の発注量や発注金額、

商品棚の配置、

新商品の販売実績、

アルバイト社員の採用や教育、

本部との折衝など、

もっともっとたくさんの

業務を抱えているのだろう。

 

これら企業における複雑化は、

小売業やサービス業だけでなく、

すべての企業に起きている現象だろう。

 

営業はモノだけでなく、

付随するサービスも売らなければならない。

モノづくりは、車を例にとると、

スピードや乗り心地だけではなく、

つながる、安全、エコを

考えなければならない。

裏方部門も財務諸表や納税だけでなく、

四半期開示や国際取引などへの

対応が必要である。

 

それら複雑な業務に対して、

会社として

どれだけシンプルに対応できるか。

そこが問われている。

 

世の中の流れは変わらない。

お客様はより複雑な要求を

してくるだろう。

 

だから社員は

お客様の複雑な要求に対して

最大限のエネルギーを

使わなければならない。

 

しかし、日本の多くの企業は

社内の仕組みが複雑なので、

社内に対してエネルギーを

消費してしまう。

 

その結果、

お客様に対して

満足な価値の提供ができない。

さらに、社内で評価されないので

チャレンジをしなくなる。

となると、いつもと変わらない

保守的な営業スタイルにもどる。

そして、現状維持、徐々に衰退

という悪循環にはまる。

 

では、社内をシンプルにすれば

良いのではとなるが、

これが難しい。

 

社内の仕組みを複雑に

することによって、

能力の低い幹部社員の

存在理由が出てくる。

 

「ああだ、こうだ」と難癖をつけて、

「稟議書を提出しろ」と言って、

自分の立場を保持する幹部社員は

掃いて捨てるほどいる。

 

この幹部社員は、社内の仕組みが

複雑なために生き残っている。

仕組みをシンプルにすると、

幹部社員のいる意味が

なくなってしまう。

幹部社員の能力の無さが

目立ってしまう。

そうなると自分の会社での

存在理由が無くなる。

なので幹部社員同士で結束する。

 

と考えると、

複雑な仕組みを直すことは、

よほど英断のできるトップが

現れない限り難しい。